修行

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只書を読み人の言を聞きたるのみにして自身にこころみざれば、道理のうはさになりて身の用をなさず。是をうはさ学問といふ。学術芸術一切の事其理を聞いて、みな自身に試み心に証する時は、其事の邪正難易たしかにしらるるものなり。是を修行といふ。

ーただ書物を読み、他人の言うことを聞くだけで、自分自身で試してみなければ、物の道理もただの噂話のようなものになって、自分自身の役には立たない。これを噂学問というのである。学術、武芸心術に関する一切の事は、その理論を聞いて、そのすべてを自分自身で試してみて納得した場合にかぎり、それらの事の邪正、難易度が確実にわかるものである。これを修行という。

佚斎樗山『天狗芸術論・猫の妙術』石井邦夫訳注,講談社学術文庫

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