柔道はいかなる武技か

柔術は旧来ただ勝敗を主眼とする武技であったから維新後の時勢に適せず、故に時勢に鑑み、これに道徳の教えを加え、青年に学ばしめて、心身鍛錬の法としたのである。柔術を改めて柔道とした理由は、柔術は力と力とを闘わし、技によって勝敗を決するものであるから、術と称すべきであるが、自分の唱道する柔道は、此は何故に敗れ、彼は何故に勝ったか、その理を討究して、原理を発見し、原理より術に及ぼし、またその原理の道を以て、心を修養する法とするから柔道と称したのである……。

嘉納先生伝記編纂会編『嘉納治五郎』講道館

コメント

勝利そのものから得られる富よりも、勝利を目指し勝利の条件を検証していくことから得られる富を重視します。敗北が死を意味することを良しとしない現代において、大きな目標(例えば経済的に不自由なく平和に家族と暮らすこと)を前にして小さな勝利と敗北は同等の価値にあります。

.

一覧